相場解説を見ていると、「チャートはフラクタル構造になっています。」
と、当たり前かのように紹介されています。
チャート上のフラクタル構造を理解できると、マルチタイムフレーム分析への理解が深まり、相場を多角的に見ることができるようになります。
本記事では、フラクタル構造の説明に加えて、マルチタイムフレーム分析の具体的なやり方を実際のチャートを用いて解説します。
重要かつ基本的な考え方になるので、ぜひともマスターしてほしい内容です。
フラクタル構造とは
フラクタル構造とは、ある形をいくつかに分解した時に、分解された部分でも元々の形と同じ形が見られる状態のことを指します。
FXにおいては月足の中に週足があり、週足の中に日足、日足の中に4時間足・・・などそれぞれの時間軸でトレンドやレンジを刻んでいます。
これらのトレンドやレンジの波形は全く同じ形状にはなりませんが、上位足を分解した時に下位足でも上位足と同じようにトレンドの形状を作っています。
ゆえに、「チャートはフラクタル構造になっている」と言えるわけです。
上図を例にすると、日足と1時間足で似たような形状が確認できます。
マルチタイムフレーム分析(MTF分析)
フラクタル構造だからこそ意味があるマルチタイムフレーム分析(MTF分析)
FXでフラクタル構造が強く意識される場面として、マルチタイムフレーム分析が挙げられます。
マルチタイムフレーム分析とは、
チャートを色々な時間軸で見て、それぞれの現在の状況(トレンド発生状況など)から狙っているエントリー方向に対しての売買戦略を立てるための分析方法です。
チャートがフラクタル構造でなければ意味がない分析方法ですね。
マルチタイムフレーム分析の具体的な手順
マルチタイムフレーム分析は、基本的により長期の時間軸から確認していきます。
デイトレードであれば、
- 日足
- 4時間足
- 1時間足
- 15分足
のような順番でそれぞれのトレンド発生状況を確認していきます。
(個人的には月足や週足の超長期足は、毎日確認しても大きな変化はあまり見られないので、週に1回程度確認すれば良いかなと考えています。)
日足、4時間足のトレンドに乗るためには、1時間足のトレンドが同じ方向を向くタイミングに合わせれば伸びる可能性が高まりますよね?
1時間足でタイミング良くエントリーするために、15分や5分足でトレンド転換などの兆しを察知する必要があります。
大きな時間軸のトレンド方向と小さな時間軸のトレンド方向が重なった(重なりそうな時)時に他の根拠を加えてエントリーすることで、より勝率を高めることができます。
チャートを活用したマルチタイムフレーム分析の具体例
上図はナスダック指数の日足チャートです。
移動平均線からも見て取れるように、しばらく右肩上がりの上昇トレンド(赤矢印)が続き、一旦の天井を付けて、調整の下降トレンド(青矢印)が発生している状態です。
直近(右端)においては、綺麗なリズムで刻んでいた下降トレンドがやや崩れたか・・・?
といった状況が確認できます。
とはいえ、日足における直近のトレンドは下降です。
大きな目線(長期)である日足の状況確認はこれぐらいにします。
次に4時間足(日足の図の赤丸部分)の状況を確認しましょう。
4時間足を少し見やすくします。
日足における調整の下降トレンドからレンジに移行した価格帯(上図でいう赤直線で挟まれた価格帯)では、価格が不規則に上下に動いています。
直近(右端)では、上昇トレンドを形成してから、レジスタンスライン(レンジの上値価格帯)を突き抜けています。
つまり、4時間足においては上昇トレンドが確認できます。
(人によっては、押し安値を抜けているから上昇トレンドが崩れ始めていると言う人もいますが、個人的には上昇トレンド中と見てます。)
次は、1時間足を確認します。
1時間足にも解説を加えます。
一方的な上昇トレンド(赤矢印)の後に調整の下落(青矢印)が発生しているところですね。
高値と安値の更新が終わり、押し安値も割り込んでいる状態なので、レンジに移行するか下降トレンドが始まるのが予想されますが、なんとも言えない状態です。
つまり、1時間足においては、はっきりしたトレンドが出てるとは言えません。
最後にオレンジ丸で囲んだ部分を15分足でより細かく確認していきましょう。
こちらにも少し解説を加えます。
綺麗な下降トレンド(青矢印)が発生した後、赤直線を境にレンジに移行し、再度、赤直線を突き抜けてきた場面です。
直近(右端)においては、はっきりとしたトレンドは発生していません。
ただ、もしかしたら、15分足では、これからちょっとした上昇トレンドになるかもな。
とも考えられる状況です。
整理すると、
- 日足→下降トレンド
- 4時間足→上昇トレンド
- 1時間足→トレンド不明(これから下降?)
- 15分足→トレンド不明(これから上昇?)
といった状況が見て取れます。
乗っていきたいトレンドが日足だとすると、ショートエントリーで利益を伸ばす方が優位性が高いと考えられます。
では、ここからショートエントリーするためには、どのような条件が重なればよいでしょうか。
- 4時間足が下降トレンドに転換
- 1時間足で下降トレンド発生
- 15分足で下降トレンド発生
これらの条件を最低限満たせばエントリーを検討できそうです。
つまり、
- (15分足)上昇トレンドが発生する(1時間足の戻り高値付近までの上昇を考慮する)
- (15分足)上昇から下降に転じるチャートパターン(逆三尊など)の発生を確認する
- (15分足)高値の切り下げを確認する
- (15分足)安値更新の足が確定してからエントリー
といったエントリーまでの戦略が立てられます。
そして、ここまでがマルチタイムフレーム分析です。
エントリーポイントは?
結論から言うと、マルチタイムフレーム分析だけでは、具体的なエントリーポイントを定めることはできません。
大体の目星を付けることはできますが、それだけでは根拠の薄いトレードになりがちです。
なので、移動平均線やフィボナッチツールなどを活用してエントリーに足りる根拠を積み重ねていきます。
そして、短期足で損切りラインにより近いポイントまで引きつけたうえで、ようやくエントリーとなります。
損切りラインをどこに置くか
損切りラインもエントリーポイントと同様におおよその位置は想定できますが、正確な損失の許容額を計算できるほど細かく設定できません。
ただし、日足のトレンドを根拠にしたのであれば、基本的には日足の戻り高値より少し上に損切りラインを設定するのが一般的です。
利確目標をどこに置くか
利確目標についてもエントリーや損切りポイントと同様におおよその位置を想定してから、短期足で細かく設定していきます。
今回の例では出しませんでしたが、日足よりも上位足である週足では上昇トレンド中なので、日足の下降が大きく伸びるとは考えにくい状態です。
なので、4時間足や1時間足レベルでの最安値付近での利確が望ましいのではないかと思われます。
まとめ
チャートはフラクタル構造になっているという意味が少しは理解できたでしょうか。
フラクタル構造であるがゆえに成立するマルチタイムフレーム分析についてを具体例を用いて解説しました。
フラクタル構造ではない場合、各時間足ごとにチャート分析すればいいという話しになります。
何度か読み返してエントリーまでの考え方をマスターしていただければ幸いです。
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