FX初心者のなかには、
- チャート分析がうまくできない。
- ロングかショートどちらにエントリーすればいいのか迷ってしまう。
- 自分がエントリーすると相場が逆行してしまう。
といった悩みを抱える方が多いと思います。
これらの悩みは総じて、
自分が見ている時間軸に対して、上か下かどちらに優位性があるのかしっかりと判断できていない
ことが原因です。
今回は、そういった悩みを少しでも減らせるように、FXトレーダーなら誰でも一度は聞いたことがあるダウ理論を紹介します。
ダウ理論の理解を深めれば、そもそものチャート分析が上達しますし、シナリオ構築時にロングかショートかで迷うことが減り、逆行したとしても落ち着いて対処できるようになると思います。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
ダウ理論をすでに知っている方は確認を兼ねてお付き合い下さいね。
FXトレーダーで知らない人はいない”ダウ理論”
ダウ理論は、1890年代後半にアメリカの金融アナリストであるチャールズ・ダウ氏がウォールストリート・ジャーナルに寄稿した255本の論説をもとに、彼が死去した翌年(1903年)にまとめられたもので、ダウ氏の名前にちなんで”ダウ理論”と名付けられました。
もともとは株式市場を対象にした理論ですが、FXにも当てはめることができます。
テクニカル分析の有効性を根拠を持って解説した基本中の基本の理論として世界中のトレーダーから支持され、発表から100年以上経った現在においても、十分に機能しています。
ダウ理論における基本原則
ダウ理論では、相場の特徴を6つの基本原則で説明しています。
1つずつ順番に確認していきます。
平均はすべての事象を織り込む
一般的に、市場価格は全てのファンダメンタルズを反映しており、需給に関するあらゆる事象は全て相場に織り込まれていると理解されています。
分かりやすく説明すると、価格に影響を与える様々なニュース(ファンダメンタルズ的要素)が出てきたとしても、チャートはそれを反映したうえで形成されていくということです。
そりゃそうだろうという話ですが、これは、先の相場を予測するのに、ファンダメンタルズ的要素を逐一考慮せずとも、チャート分析だけで事足りるということです。
つまり、相場を予測する=チャート分析する
という考え方で、テクニカル分析の論理的な根拠と言えます。
トレンドには3種類ある
相場には短期から長期にわたる3つのトレンドがあるとしています。
短期(小トレンド)
- 3週間未満の短いトレンドを指します。
中期(二次トレンド)
- 3週間から3ヶ月程度の中期間のトレンドを指します。
長期(主要トレンド)
- 1年から数年にわたる長期間のトレンドを指します。
相場はトレンドによって支配されているため、チャート分析においてはトレンドを最重要視します。
また、各種トレンドは相互に関連し合っているので、常に繋がって動きます。
1直線に一定の方向に進むことはなく、上下運動を繰り返しながら動きます。
長期では上昇していても、中期では下降、短期では強い下降といった感じで組み込まれます。
主要トレンドは3段階からなる
3種類のトレンドのうち、主要トレンドは3つの段階から構成されています。
先行期(第1段階)
先見の明を持つトレーダーが底値(天井)で買い(売り)始めます。
そのため、価格が緩やかに上昇(下落)を開始します。
ただ、大局的には前回のトレンドの最中とみなしているトレーダーも多く、トレンドに逆らった取引(逆張り)となるため、初心者トレーダーには技術的にもメンタル的にも難しい場面になります。
追随期(第2段階)
先行期に発生した緩やかな上昇(下落)が大きな上昇(下落)になってきます。
トレンドの発生に懐疑的だったトレーダー達が一気に参入してくるため、乗り遅れると取り残されてしまうほどの上昇(下落)となります。
下手に飛び乗りでエントリーすると利食いの勢力による反対売買圧力や逆張り勢によってすぐに逆行することに繋がりかねないので、乗り遅れてしまった場合は、次のチャンスを待ちましょう。
利食い期(第3段階)
トレンドのピークを迎え、先行期に参入してきたトレーダー達が利確を始めます。
利確=反対売買なので、上昇トレンドの場合は下落し、下落トレンドの場合は上昇します。
初心者トレーダーや何も知らない人はこのタイミングで参入し始めることが多いため、すぐに相場が逆行し始める原因となっています。
平均は相互に確認されなければならない
色々なテクニカル指標がある時に、その両方に同様のシグナルが確認されないといけないということです。
つまり、トレンド判断の際には、複数のテクニカルツールを見ようということです。
例えば、移動平均線のみのトレンド判断ではなく、MACDやRSIなど他の指標でも確認し、同じ方向のトレンドが出ているか確認するべきです。
ただし、数が多すぎると全ての指標で一方向へのトレンドが示唆されることが少ないので、自分が信じているツールで判断を行うのが最適です。
具体的に数で示すとすれば、せいぜい2~3個程度ではないでしょうか。
また、FXにおいては、通貨の相関関係もトレンドに密接に関係してくるためチェックが必要です。
トレンドは出来高でも確認されなければならない
市場全体の出来高(一定期間内に売買が成立した量)でもトレンドが確認できなければいけないということです。
正直、FXにおいてはあまり気にしなくてもいい要素の一つだと思います。
と言うのも、株式市場では出来高を確認することができますが、FXにおいては、市場があまりに巨大すぎるため、出来高を把握する術がないからです。
トレンドは明確な転換シグナルが発生するまで継続する
一旦発生したトレンドは、はっきりとした転換のサインが出るまで継続します。
トレンド継続の定義は、直近高値(安値)の切り上げ(切り下げ)、安値(高値)の切り上げ(切り下げ)が継続することです。
仮に一旦、短期でレンジを組んでも、最終的に高値(安値)をブレイクして更新すれば、それはトレンド継続を意味します。
トレンドが崩れるには直近高値(安値)を更新せず、逆に安値(高値)を切り上げ(切り下げ)ることが条件になります。
短期足やヒゲレベルでの転換サインはしょっちゅう発生しますが、これを明確な転換シグナルとは言えず、俗にいう天井買いや底値売りといった大損失フラグを立てることに繋がってしまうので注意しましょう。
少なくとも、自分が確認している時間足のさらに上位足で高値(安値)を突き抜ける大陽線(大陰線)の確定を確認して初めて「転換かもな」と考えるようにしなければいけません。
ダウ理論をチャート分析で活用するには
では、チャート分析において具体的にダウ理論を活用してみましょう。
一番活用できるポイントは、トレンドの把握つまり現在の相場が上か下のどちらの方向に対して優位性が高いかを判断する基準を設けることができる点です。
自分が監視している時間足において、どちらの方向にトレンドが発生しているのかを認識できれば、ムダなエントリーを減らすことに繋がります。
勝ちを増やすというよりは、負けを減らすと言った方がいいかもしれません。
手法への転用方法など、より具体的な内容は”実践編”でお伝えしますので参考にして下さい。
まとめ
FXを少しでもかじったことをある人が一度は聞いたことのあるダウ理論ですが、
相場における本質をしっかりと捉えた理論であり、上級者になるためにはしっかりと理解しておかなければいけない基本的な理論であると言えます。
トレンドフォロー派にしろ、逆張り派にしろ、相場においてトレンドを把握するための明確な基準を示しているのがダウ理論です。
同じタイミングで買いを狙っているトレーダーもいれば、売りを狙っているトレーダーも存在します。
また、価格はより勢力が大きい方へ傾くようになっているので、目線は大衆と同じ方向を向いていないといけません。
大衆と同じ目線を持つということは、多くの人が意識する基準に沿った共通認識を持っているということになります。
その共通認識として一番ふさわしいものが、今回紹介したダウ理論です。
あなたもダウ理論を正しく理解し、しっかりと目線を固定して取引を繰り返せば、勝ちトレーダーになるのは決して夢ではありませんよ。
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